43歳で人生初の転職
私は43歳のとき、人生で初めての転職をした。
大学卒業後、20年間お世話になった会社を去ったのだ。
私にとっては、ものすごく勇気のいる決断だった。
妻もいるし、子供も二人いた。(当時:中1と小4)
20年間所属していたというその会社では、やりたい仕事ができていた。
人間関係もよく、それなりの役職にもついていたし、自宅からも近かった。
年収は大企業の同世代と比べると少ないことは断言できるが、それほど悪くもなかった。
会社を辞めるといったとき、上司や部下はとても驚いていた。気でも違ったのかと思われたことだろう。
転職の目的は、夢をかなえるためのステップアップだった。
いずれは独立コンサルタントとして活躍するという夢を持っている。そのための大きなステップアップだ。
独立コンサルタントになるために、インパクトのある肩書がほしかった。
したがって、ネームバリューのある有名企業に行く必要があった。
そこで、世界的にも有名な外資系コンサルティングファームに挑戦し、転職を実現することができた。
それにしても、なぜこの歳でこれほどリスクを負うような転職を決断できたのか?
答えは、もう一方のリスクを考えたからだ。
私は転職するリスクと同時に、今の会社にとどまるリスクを考えてみた。
将来を考えると不安がいっぱいだった。
会社の将来というわけではない。会社は存在している可能性はある。倒れる可能性ももちろんある。
しかし、それ以上に、自分の価値が継続できるかどうかが不安だった。
上司からも期待され、ひいきにしてもらっていた。
しかし、10年もすれば、管理職の役割なんてたかが知れたものになっているだろう。
デジタル技術の進歩により、今の仕事がいつまでも存在するとは思えないし、今の組織体系も様変わりすることだろう。
したがって、管理職として期待されることは、私にとってはネガティブな印象があった。
厳しい環境に見多き、新しい技術を習得し、応用力を磨かなくてはならない。
それは、ぬるま湯につかって惰性で過ごして得られるものではない。
だから少しでも早めに手を打とうと考えた。
とはいえ、その時点でもう既に40歳を超えていた。
多くの人は40を過ぎて初めての転職というのは抵抗を感じることだと思う。
実際、私もそうだった。
いまさらこの歳で新天地に向かうなんて、そんな無謀なことをする必要があるのだろうか?
常にこの考えが頭の中を駆け巡っていた。環境を変えたくないという自分の中の抵抗勢力だ。
抵抗勢力が活発になると、転職なんてリスクしかないように思えてくる。
しかし、このまま今の会社に居座るリスクのほうが大きいと、何度も自分に言い聞かせた。
そして、最終的に抵抗勢力を打ち破ったのは、ワクワク感だった。
- 世界的に有名な外資系コンサルティングファームに転職し、立派な肩書を持って独立する。
- 組織に縛られず、自分の力を発揮できる分野に集中し、成果を出していく。
- 苦手な分野はクラウドソーシングを活用すれば、最大限のパフォーマンスを発揮できるだろう。
こんな妄想をしていると、もう動かずに入られなかった。
私は2つの条件を自分に与えた。
それを乗り越えられたら、夢に向かって動き出すことを決断する。
- 妻を説得する!
- 妥協せず、ここと決めた外資系コンサルティングファームのみ応募する!
まず、妻を納得させないまま転職するなんてありえないと考えた。
妻は現実的な目線で指摘してくれる。
もし説得できないならば、自分の夢への思いもその程度だと諦めるべきだと自分に言い聞かせた。
もうひとつは、転職先を妥協しないこと。
転職することが目的ではない。
厳しい世界に身をおき、コンサルとしての経験を積むと同時に、立派な肩書を得ることが目的だ。
そのためには、人気ランキングで上位を争うようなネームバリューのあるファームを選択しなければならない。
私は上記2つの条件を達成した。
だから、妻も納得しているし、堂々と退職の意思を伝えることができた。
夢への大きな第一歩を踏み出した。
その後は、覚悟をしていたとおりの厳しい世界が待っていた。
それでも、今このとおり、人生を楽しんでいるし、ワクワク感も継続中だ。